全国的に確認されるごみ屋敷
国内のごみ屋敷は、どこかの地域に偏っているということはなく、全国的に確認されています。
所有者の住まいや土地の中だけのことなのだから、どんな状況でも本人の自由なのではという考え方があるかもしれませんが、ニオイが周辺に立ちこめたり、土地の場合は不法投棄が増えたり、不衛生になったり、街の景観が損なわれるなどという悪影響が出ています。
周辺住民からの相談やクレームが市町村などに寄せられており、その内訳は一人暮らしや高齢者の方が半分近くを占めるということです。
ごみ屋敷のご本人に話をうかがうと、60%近くもの方がご近所づきあいをしていないとのことなので、そういったところからもご自身が現在暮らしている環境が客観的に見て第三者の目にどのように映っているのかを認識しにくくなっているともいえそうです。
昔の日本は親子三世代、四世代が同じ屋根の下で暮らすことが一般的でしたが、徐々に核家族が増え、現在では一人暮らしや高齢者だけのお宅も多くなっています。
これからはさらに高齢化社会となり、お年寄りだけの家族も増える一方でしょう。
地域社会とのつき合いをしなくても生活しやすくなっていることが、人間関係のわずらわしさを排除できている一方で、ごみ屋敷などの問題増加にもつながっています。
対策されないケース
市町村などが把握しても、対策が取れていないケースがあります。
いろいろな理由がありますが、
・ご本人に伝えても客観的にはゴミと判断される物を、ゴミではないと主張されること。
・ご本人がゴミだと認識している場合では、経済的な理由で処理するために発生する費用を支払えないこと。
・自治体が介入したくても、法律上は根拠がないこと。
などがあげられます。
希薄になった地域社会との交流
ごみ屋敷の対策というと、その住居や土地から第三者が見てゴミだと認識するものを排除できればいいかといえば、それだけでは不十分です。
現在あるゴミを処分することができたとしても、ご本人の抱えている問題が解決したり、状況が変わるなどしない限り、同じ状態をまた生み出すことになるでしょう。
ご本人はなにかに困っていたり苦しんでおり、それが表面に出た一つの形がごみ屋敷なのです。
ごみ屋敷は全国的な問題となっており、行政も対策に取り組んでいます。
地域社会との交流が希薄になっていなければ、ごみ屋敷と呼ばれるほどの規模に至っていないケースも多いといえます。
自治会や町内会などが見守り、声掛けをしていくなどということも対策の大きな力になるはずです。
ご本人も、最初からそのような環境の住人であったわけではありません。
本来のその方らしさを取り戻すことができるよう、多少は時間をかけてでも解決に向けたアプローチが必要です。